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本当のことなんて

by Yuki Hattori

ある人と話をしていて、「芸能人とかモデルの人ってテレビや雑誌で見てるとすごい綺麗だけど、実際に会ってみるとそうでもないことってありますよねー」という話になった。まぁ別に大した意味もなくて、男同士のたわいもない世間話と言うか、石原さとみの熱愛報道に少なからず動揺していた心を落ち着かせるために、そう自分に言い聞かす必要があっただけで、そう、別に大した意味はない。石原さとみだって実際に会ってみたらそんなにかわいくないかもしれないじゃないか。

いくらでも加工が可能なテレビや雑誌上では、視聴者は常に「一番いい状態」を見ているから、ハードルがマックスに上がったうえで加工なしの実物を目の当たりにすると、どうしてもマイナスに感じてしまうのかもしれないねと、まぁそんなところで話は落ち着いた。だから本当は石原さとみだっ(以下略)

ところで先週末、僕は山登りに行った。せっかく山梨に越してきたし、毎日見ている八ヶ岳にどうせなら登ってみようと一念発起。せっせと道具やウェアを揃えて、運動不足の体にムチを打ちながらそこそこ高い峰に登ってみた。岩にしがみついて急な坂を登り、山頂に広がる壮大な景色を見た瞬間はそれはそれは気持ちが良くて、なるほど、登山にハマる人が多いのもよく理解できる。

そうなると、その写真をSNSでシェアしたくなるのが人というもの。ご多分に漏れず僕もGoProを取り出して、普段はかけないサングラスなんぞをかけて「山頂に立つオレ」を「一番いい状態」で見せたくなるわけです。おっさんが山に登っている写真なんて誰も興味がないのに、本人にとっては絶好のインスタ映えポイント。その点、今はとてもいい時代で、パソコンやスマホのアプリで加工すれば、なんでもない写真もそれなりにいい感じに見えたりする。僕は使ったことがないけれど、女性の方なら美肌になったり目が大きくなったりするアプリを一度くらいは使ってみたことがあるんじゃないかな。

あれ?

ふと、さっきの芸能人の話と似たようなことが案外身近なところで行われていることに気がつく。みんな「一番いい状態」に加工した自分をネット上にどんどんアップしているし、肌の補正や色の調整も当たり前。他でもない自分だって、ゴリゴリに加工した写真をSNSにアップしているじゃないか。そういえば、空の色はもう少しどんよりしていたような気もするし、少しでも雰囲気良く見えるようにとあれこれとフィルターをかけていた。本当はどんな色の空を見ていたんだっけ。

つまり、僕がSNSにアップした写真と実際の空の色は違うわけで、極端な話かもしれないけれど、例えば独占しているように見える山頂が実はたくさんの人でごった返していたとしても、SNSを見る人にはそれは分からない。

そう。本当のことなんて、インターネットにはもう載っていないのかもしれないね。


Yuki Hattori
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