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自分でできることを増やしていく

by Yuki Hattori

もうすぐ八ヶ岳に来て初めての冬を迎える。 

冬の気配だけでも都会のそれとは明らかに違っていて、まだ11月だというのに朝晩の冷え込みは想像以上に厳しい。常夏のバリ島で暮らしたり、標高700mの山中で暮らしたりしていると、世の中にはいろいろな生活があり、自分の物差しだけで何かを測ることの浅はかさを思い知る。 

例えばここ八ヶ岳では冬の暖房の主役は薪ストーブで、炎の揺らめく憧れの空間が我が家にもあるわけだけれど、一冬を越すためにはなんと4トンもの薪が必要で、この量を普通に購入するととんでもない金額になるので、伐採した原木をどこかで手に入れて自分で割る、というのが山の暮らしの基本となる。 

つまり、炎の前でゆったり流れる時間を手に入れるにはその何倍もの時間を労働=薪作りに当てなければならず、積み上がった原木の山を前に、使い慣れないチェンソーにビビりながらへっぴり腰で薪を作っていると、これまでとはまったく違う生活が始まったことを実感する。 

スイッチひとつで簡単に暖かくなる時代に、薪を燃やして暖をとるなんて、いかにも原始的でバカげているけれど、「エネルギーを自分で作れる」という事実は、畑で野菜を作るのと同じように僕にとってはとても重要で、時代の流れには逆行していても、自分の中ではむしろ前に進んでいると思っている。 

森は無計画な伐採をしなければ永続的に薪を供給してくれるし、燃やした灰は畑の良い肥料になり、野菜からとれた種は来年も自分たちの食べるぶんぐらいは実をつけてくれるだろう。そういった持続可能(サスティナブル)な生活にシフトしていくことが、僕の人生を通しての目標となりつつある。ライフラインを誰かに預けるのではなく、自分でできることを増やしていく。手の届く範囲から少しずつ。 

薪の生活に慣れたら、次は太陽光発電にでも挑戦してみようかな。 


Yuki Hattori
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