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アイデアと移動距離

by Yuki Hattori

何かの本で読んで心に留めている言葉に「アイデアは移動距離に比例する」というものがある。

今年に入ってから、愛媛、高松、大阪、那覇、石巻、仙台、東京、福岡、長野、山梨などなど、パッと思いつくだけでもいろんな町に行った。もっとたくさん移動している人はいくらでもいるから、これは別に移動自慢がしたいわけではなく、自分のこれまでの暮らしの中では、今が一番移動距離の多い生活をしているということの確認。

で、大きくなった移動距離に比例して、アイデアは大きくなったのかというと…正直なところよく分からない。ただひとつ言えることは、どれだけテクノロジーが発達しても本当のことは現地に行かないと見えない、ということ。

例えば、宇和島で投げ売りされる絶品のみかんは東京ではいくらで売られているのか、那覇の国際通りで客引きをする人はどんなセリフでお客さんを呼び込んでいるのか、石巻の復興にITはどんな役割を担っているのか。こういう情報はインターネットには載っていない。一部載っていても、それは投稿者の視点やフィルターを通したもので、実際に自分の目や耳、肌で感じるものとは情報の種類が違う。

だから僕は「一次情報」を得るためにいろいろな町に行く。そして、各地をまわって集めてきた情報を組み合わせることで、ようやくアイデアを生むためのヒントが得られる。机上の空論では何も起こらないのはいつの時代でも同じで、やはり実際に目で見て肌で感じなければ本質はつかめない。

さらに、移動中や旅先というのは、行動が制限される。いつものように、PCにかじりついて常にオンラインでいるという訳にはいかないし、あえてそうしようとも思わない。意識的に圏外へ行こうと、必要もないのに僻地へ車を走らせることもあれば、地下に潜ってわざと怪しげな店に入ることもある。スマホはカバンの奥に突っ込んだままで、ほとんど触ることはない。

僕は基本的に1人で行動しているので、そういう時間の中では、必然的に「思考」がメインの行動になる。
いろいろなものを見て感じながら思考を巡らせていると、自分が社会に求められている役割や、この国をより良くするにはどうやって世の中に関わっていくのが効果的なんだろうとか、そんなことを考えている自分に気がつく。自分の夢しか頭になかった僕がそんなことを考え始めているのは、たくさん移動して多くの人と話すなかで、多角的に物事を見れるようになったことが影響しているのかもしれない。

アイデアは移動距離に比例する。この言葉を信じて、しばらくは移動を続けてみようと思う。


Yuki Hattori
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