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便利なだけでは

by Yuki Hattori

10年ぶりにラップを書いている。ステージというのは、本来なら10年もブランクがある人間が簡単に立っていいような場所じゃないんだけど、先輩たちとやっていたイベントの復活に華を添えたくて、久しぶりにステージに立たせてもらうことになった。
そうは言っても10年は長い。なかなか言葉が出てこなくて、昔の勘を取り戻すために、当時よく聴いていた音楽をひっぱり出しては耳を慣れさせている。

そんな中、兄の家で古いレゲエのレコードを聴く機会があった。久しぶりに針を落とすと、アナログにしか出せない厚みのあるサウンドが、昔の記憶を呼び起こしてくれた。

それにしても、レコードって不便。特に7インチの小さなレコードは1曲毎に盤を差し替えなければならないので、MP3やストリーミング全盛のこの時代に、まぁ面倒なことこの上ない。

でも、それがいい。

1曲1曲に真剣に向き合えて、しっかり音楽を聴くことができる。そんなの気持ちの問題で便利な方がいいでしょ、っていう人が大多数かもしれないし、僕自身もどうしてそれがいいのかはっきりとは分からないけれど、たぶんレコードを触ったことがある人ならこの感覚は分かるんじゃないかな。
月額いくらで無制限に届く音楽データを垂れ流すよりも、苦労して手に入れたというジャマイカのレコードに針を落とす瞬間のほうがやっぱり楽しい。

iTunesをダブルクリックすればいつでも聴けるボブ・マーリーも、いつもより沁みるのはなんでだろうね。


Yuki Hattori
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