Fragment

夏野菜

by Yuki Hattori

周回遅れで、ようやく夏野菜が収穫時期を迎えている。

3月に農園を借りて、全く知識のないまま手探りで野菜作りをはじめて早5ヶ月。よい師匠たちのおかげでなんとか少しずつ収穫ができているものの、なかなかうまくいかないことも多い。今日とれた夏野菜たちも、一度失敗して植える時期がずれたため、収穫時期が少し遅れてしまった。
せっかく作るなら安全でおいしいものを、と思い有機栽培にこだわっているのだけれど、都会で目にする「オーガニック」という耳障りの良い響きとは裏腹に、実際には病気や虫との戦いである。単純に野菜を作るだけなら、農薬を撒いてしまったほうが圧倒的に楽だし、除草剤を使えば、草むしりに1日の大半を費やして真っ黒に日焼けすることもない。

それでも、そんな手間隙をかけて作られた野菜は、やっぱりおいしい。今まで食べていた野菜は何だったんだろうと思うぐらい味が濃く、そして甘い。何より、すべての工程を自分で管理しているので絶対的に安全であるという安心感。これは何物にも代えがたい。

今育てているのは、トマト、バジル、きゅうり、なす、枝豆、ピーマン、唐辛子、里芋、ねぎ、大葉、エゴマ。これまでにキャベツ、じゃがいも、かぼちゃも収穫できた。当たり前だけれど野菜によって育て方も違うし、同じ野菜でも株によって育ち具合がぜんぜん違う。土のつくり方から畝の起こし方、トマトの芽欠きの仕方とか、ねぎは植え替えないといけないとか、もうあまりにも知らないことばっかりで面白い。

仕事がなくなってもとりあえず食べるものに困らないようにと、リスクヘッジとして始めた野菜作り。「食べ物を作る」という経験は、失敗続きだけれどそのぶん実りは大きく、日々いろいろな気づきをもたらしてくれる。少なくとも、ずっと部屋にこもってパソコンばっかり触っているよりは健全だし、土に触るとなぜだか優しく前向きになれるのは新しい発見だった。デジタルにまみれた日々の中で、体と心が自然とのふれあいを求めていたのかもしれない。

さぁ、夏野菜もそろそろおしまい。次はどんな種を埋めようか。